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1割送迎ボランティア

移動支援ボランティアReraさんという石巻市内を中心に送迎活動を精力的に行われている支援団体があります。

http://blog.canpan.info/rera/

昨年から新しい公共の助成事業として、石巻の交通問題を考える『移動支援連絡会』をReraさんが中心となり、市の担当課、社協、タクシー協会、石巻仮設住宅自治連合会、その他福祉・交通各種関係機関等が集まり、会議を行っています。

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私達もその会議に参加しており、その会議の中心的なテーマは、Reraさんは、3月に助成期間が終了し、今のまま継続できない。そこで、4月以降に福祉有償運送という業態をとる予定だが、介護認定を受けている人のみしか送迎できなくなってしまうので、そこであぶれる人達のケアをどうするか。という事です。

その中で、いくつか分科会として派生し、取り組みが行われているのですが、私達が提案したのは、仮設大橋団地自治会の山崎会長が会議に参加してくださっているので、大橋団地で様々な取り組みを試してみて、一つのモデルケースを作りませんか?という点と、仮設内で送迎ボランティアを募集して、住民の方々に送迎の一端を担っていただいてはどうか?という2点でした。

大橋団地のモデルケースの分科会の様子

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私達は1枚のチラシを作って山崎会長に回覧で回して頂きました。

『1割送迎ボランティア募集』

1割送迎ボランティア説明会チラシ(大橋).pdf

大橋団地では、Reraさんの送迎がなんと毎月約100回もあるのです。
そのうちの1/10の10回だけでも住民側でカーシェアリング車を使って送迎しようという企画です。

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12月19日、開催した説明会に1人の女性が来てくださいました。

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「今まで色々と支援して頂いて、自分にできる事があればやりたいと思い来ました。」

とその女性(吉田さん)は語ってくださいました。

まずは、一人のお母さんの送迎から始める事にしました。

候補として最初にあがったのは、この団地のカーシェアリング利用者であった渋谷さんの奥さんです。

渋谷さんは、この大橋団地でも最もカーシェアリングを利用されていた方でした。
脳梗塞で体に少し障害を持った奥さんの送迎などに使用されていました。

カーシェアリングのことをすごくよく思ってくださり、取材なども毎回快く協力してくださいました。

【過去レポート:渋谷さんとプリメーラの鍵】
http://japan-csa.seesaa.net/article/233417727.html
http://jcsa.blog.fc2.com/blog-entry-214.html

その渋谷さんが、昨年春、癌で亡くなられたのです。

突然のことで、私達もすごいショックを受けたのですが、奥さんが本当に悲しみに打ちひしがれていらっしゃいました。

それから、私達は、大橋団地に寄る度に、渋谷さんの奥さんを訪ね、私達が行っているイベントにも毎回お誘いし、奥さんもそれをすごく楽しみにしてくださっているのでした。

そして、奥さんは、旦那さんが倒れてからは、Reraさんを利用されるようになりました。

そうしたいきさつがあり、渋谷さんの奥さん(以後“渋谷さん”)なら私達も気心知れた関係で、最初模索しながら進めていくのに、色々と協力いただけるだろうという事で、渋谷さんの送迎から始めることができればという事になりました。

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年が明けてから、渋谷さんに今回の話をするために伺いました。

今回の取り組みに協力してくださることになりました。

「たけちゃん、寒くなったから、温泉とか行きたいなぁ」

今月末あたりに、どっか温泉行きましょうといった話をしていると

「話し相手がいなくて寂しいの」

そんな一言を呟きました。

今回の、送迎の取り組みが、単に送迎を住民同士で行うだけでなく、新しい触れ合いが生まれ、人間関係が築かれるきっかけになればと思いました。

年が明けて、渋谷さんとの顔合わせを予定していた1月10日の2日程前、大森団地で準備している次回REDYFOR?の件で、ご協力いただくジョイナスさんの事務所にお邪魔していたら、一人の奥さんが訪ねてこられました。

その方は、大橋団地の方でした。

ご挨拶をして、世間話をしながら、今回の送迎の話をしていると

「気になっていたけど、説明会の日行けなくて・・・」

渋谷さんとの顔合わせにお誘いすると

「ぜひ!」

という事になりました。それが、相澤さんです。

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10日、初顔合わせのため、吉田さん、相澤さん、山崎会長と一緒に渋谷さんの部屋を訪ねていきました。

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お互い挨拶をしていくうちに、吉田さんと渋谷さんの元々の自宅が近所だったり、共通の知り合いがいたり、地元ならではの話題で盛り上がりました。

話をしながら、大体の流れを確認していき、渋谷さんには、万が一の時運転手の方を守るためにも渋谷さんご本人とご家族の方の同意書を書いていただく事にし、16日に相澤さんが、17日は吉田さんがサイトウ病院に最初の送迎を行う事になりました。

送迎同意書.pdf

16日の午後、最初の送迎という事もあり、Reraの鈴木さんがまずお手本としてに来てくださいました。

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渋谷さんは、少し目も見えづらいため、時々ボタンのかけ違い等されている事もあるとの事をReraさんから予め伺っていました。この日も、ボタンのかけ違いがあり、早速相澤さんが優しくなおしてくださいました。

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車まで手を取りながら案内して

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シートベルトを付けてあげて

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到着すると病院のエントランスまで手を引いて案内してあげます。

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一旦大橋団地に戻り、送迎のポイントをReraさんから確認しました。

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帰りの迎えは相澤さん一人で行きました。
家に着くと、渋谷さんは、維持費のためのカンパを入れてくださいました。

ガソリン代として3km100円(乗車している時の計算なので、一旦戻る復路等を考えると実質6km100円です)とは別に車の維持費としてカンパの協力をお願いしているのです。

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手を添えて、家までお送りしました。

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最後に車を戻し、運転日誌に記録を付けます。

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17日は、送りを吉田さんが、迎えを相澤さんが実施しました。

この日も吉田さんの初めての送迎ということでReraの鈴木さんが来て下さり相澤さんの時と同じように手本を見せてくださいました。

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復路の車の中では色々とポイントの解説です。

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運転日誌に記録して、相澤さんも全体の流れを確認する事ができました。

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迎えは、相澤さんが行きました。

送迎が終わった後、

「寄ってけらいん?(家にちょっと寄ってお茶でもしていきませんか?)」

と言って少しお話をされました。

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渋谷さんは、次は24日、お願いしたいと相澤さんに相談をされていました。
24日は相澤さんは都合が悪いらしく、その場で吉田さんに連絡をとり、吉田さんが行ってくださることになりました。
相澤さんと吉田さんの連携もバッチリでした。

相澤さんは、同じ団地のお知り合いの方でReraさんを利用されている方がおり、その方も声をかけるとおっしゃっていました。また、回覧で、再度呼びかけをやりましょう。という事もおっしゃってました。

相澤さん、吉田さん、渋谷さんの周りから少しずつ広げていき、まずは1割の10回を目標に進めていけたらと思ってます。

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17日は、石巻仮設住宅自治連合会のある日でした。

この日も多くの自治会役員の方々が来られていました。

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Reraの村島さんに来ていただき、Reraの現状と、この大橋団地の事例を紹介して他の団地での実施を呼びかけていただきました。

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自治連と打ち合わせを行いながら、あと数か所で同じような取り組みを始めていきます。

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今回、相澤さんや吉田さんと話をしていると送迎をする方にとって、個人の車で送迎するよりも、グループでちょっとしたルールを決めて、カーシェアリングの車でやる方が安心してできるのでいいとの事です。
例えば、ガソリン代等経費について個人的な送り迎えではなかなか話し辛く、また保険なども個人で入っている保険でなく、協会で加入しているモノを使えるのなら助かるのだそうです。今回の取り組みは、私達にとってもカーシェアリングの送迎活用の可能性を再認識出来ました。

あとは維持するための経費だけなんとか賄えたら、善意を上手く循環させることができるのではと思います。

この小さな一歩を大切に育み、一つでも多くの助け合いと心の触れ合いが仮設団地内に生まれればと思っています。

これからが楽しみです。

(日本カーシェアリング協会のブログより転載)

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