「お米は、卒業です」
自治会の会長さんは、そう言って僕らを出迎えてくださいました。
真夏の太陽に負けず劣らず、自信に溢れたまぶしい笑顔で。
いつまでもお米に頼っていると、住民の自立を妨げる。
団地内でそんな意見が出始め、
前回の訪問でお米をお渡しするのが最後になった前山団地。
けれど、まだまだ住民さん同士をつなげられていない気がして、
後ろ髪を引かれる思いでいっぱいでした。
何か出来ないものかと思い悩んだあげく、
考えついたのが、集会所でお茶会を開催し、住民さん同士をつなげる作戦でした。
僕らの活動の対象となるのは、65歳以上の独居の方々です。
前山団地にお住まいの対象者のうち、どうにかこうにか、
過半数の方々に来ていただきました。
どうやら皆さん普段から顔なじみらしく、
自然に会話が進んでいきます。
でも、それが問題の一つ。
どこの仮設住宅でも大抵そうなのですが、
集会所のイベントに参加される方の顔ぶれが決まってしまう。
いらっしゃる方は積極的にいらっしゃるが、
そうでない方は、全くいらっしゃらない。
積極的に外に出られる方がいらっしゃる反面、
内にこもってしまわれる方がいらっしゃる。
でも、イベントに参加されている方々は、
参加されていらっしゃらない方々のことを、ちゃんと気にしていらっしゃったんです。
ちゃんと、お隣さんのことを気にしていらっしゃるんです。
「お米は、卒業です」
住民さんに気を配り、住民さんのことを分かっていらっしゃるからこそ出た言葉なのだと、
しみじみと感じた一日でした。
へんりぃ