今日の「サンライス元気村」2班は、「開成第12団地」で活動しました。
ここの団地は、石巻の市街地から距離はあまり離れていないものの、
もともとは産業拠点として整備される予定の地域であったため、
生活感が薄い所でしたが、最近になりスーパーや食堂が開店するなど、
仮設ではあるものの、少し住みやすくなったかな…という印象です。
私たちは、この地域で1月以降4回の活動を行い、
活動の対象となる65歳以上の単身世帯者とのコミュニケーションを重ね、
今日までにほとんどの世帯の方と1度以上お話をすることができていました。
ということで、今回は「より深いコミュニケーションを!」と意気込んでいましたが、
お天道様は私たちの思いをもて遊ぶように、石巻は朝から激しい雨風に襲われました。
まあ、そんな天候の日には対象となる皆さんの在宅率が高くなるということもあり、
それを証明するように静まり返った敷地内を、
強い風に傘をひっくり返されながらも一軒一軒回っていきました。
1軒目のおかあさんは留守だったため、お訪ねしたことを知らせる貼紙をさせていただき
すぐ隣のおかあさんのお宅に伺いました。
肌寒い中、玄関先で応対いただいたおかあさんは、左手の痛みを抱えながらも
快く応対いただきました。
3軒目に伺おうとすると、一軒目のおかあさんが顔を出してくれました。
「部屋で寝ていたんだけど…」という一言におかあさんの優しさを感じながら、
つかの間の会話を楽しみました。
で、改めて3軒目の、今日初めてのおとうさんの所に伺いました。
「トントントントン」とお約束のノックの後、しばらく静かな時間がありました。
こんな時、「今日もお留守なのかな…」と、ちょっぴり寂しい気持ちになりますが、
それと同時に玄関の戸が開く音がして、奥から温和な感じのおとうさんが出てこられました。
その表情に「私たちの訪問を心待ちにしてくれていたのかな…」という気持ちになりましたが、
たぶんそれは気のせいではないと思います。
「まあ、上がっていって」というお言葉に二つ返事で靴を脱ぎ、奥の部屋に入らせていただきました。
男性のお一人暮らしということで、何となく汚い部屋を想像していましたが、
いい意味で裏切られた感じで、きれいではないもののそれなりに整頓されたお部屋に安心しました。
前回までの会話の中で、談話室でカラオケを楽しまれているというお話を伺っていたこともあり、
「おとうさんの十八番は?」と定番の質問をさせて頂きましたが、
「歌う曲がないんだよな~」とちょっぴり寂しいお答えが…
よくよく伺うと、お父さんは若い頃にカンツォーネを聴いたり歌ったりしていたそうで、
確かに仮設の集会所でそれは無いかなと、諦めを感じました。
ところが、「みんな民謡を上手く歌うんだよな~」と笑顔でお話しするお父さんの言葉に、
「カンツォーネって、イタリアの民謡みたいなものじゃないですか?」と
多少いい加減なことを言ってお父さんにその気になってもらおうと思いましたが、
近いうちにこちらの集会所からおとうさんの高らかな歌声が聞こえてきたら、嬉しいですね。
(あとで調べてみたら、そんな言い方もされるそうです…)
近所の食堂で食事をとったのち、「雨にも負けず、ガンバルぞっ」と思った矢先に、
「悪天候により今日の仮設訪問は中止」との指示が出て、肩を落としてベースに戻りました。
ところで、人って思いもよらない趣味や特技を持っていたりして、
「能ある鷹は爪を隠す」ではないですが、なかなか他人の才能に気づくことができないものです。
これまで「サンライス元気村」の活動でおとうさん、おかあさんとの出会いを通じ、
そんな「隠した爪」を見せて頂きながら、そうしたことをもっと日常でできたらいいなあと、
改めて感じました。
たての